もし、親が住んでいる土地が、祖父名義のままだったら、大変なことになるかもしれません!

ここでは、どんな大変なことが起きるかを解説していきます。

 

〇土地の名義=相続問題

 

土地の名義というのは、不動産登記簿謄本に記載されている土地の所有者(名義人)のことです。

名義を変更するには、管轄の法務局に行き、手続きをします。

もしくは司法書士に依頼し、変更手続きを行ってもらいます。
手続き自体はたいして難しくはありません。

しかし、名義変更手続きをせずに放置した場合、時間が経過すればするほど大変な事態に陥る可能性があります。

なぜかというと、相続問題が関係するからです。

たとえばこの一家の場合でみていきます。

私の父は、祖父から相続した家に住んでいます。祖父は30年前に亡くなっています。たまたま土地の登記簿謄本を調べたところ、名義が祖父のままになっていることが判明しました。

父は、兄弟同士の話し合いで自分が相続したので、当然に名義変更できるものと思い、法務局に手続きに行きました。しかし、相続人全員の印鑑を押した「遺産分割協議書」が無いと、名義変更できませんと言われ、手続きができませんでした。

 

父はこの土地を相続しているのに、なぜ手続きできなかったのでしょうか?

それは、相続したという証明がなかったからです。

法務局に対して「相続人同士の話し合いで私が土地の相続人になった」と主張したとしても、証拠がないので、申請者の発言が嘘か本当かが分かりません。法務局の担当者は嘘ではないという証拠を確認しない限り、名義変更の手続きを進めてくれません。

 

それを証明するものが「遺産分割協議書」です。

書式は特に決まりはありません。

相続の分け方を記載し、相続人全員の印鑑(実印)を押すだけです。

ですので、上図(図1)のように、相続人が兄弟4人だけの場合は、苦労することなく全員の印鑑を貰うことが出来ると思います。

 

問題になるのは、父の兄弟が亡くなっている場合なんです。

法律では、相続人が亡くなると、相続人の権利はその子に移ります。

そのため、もし下の図のように父の兄弟が全員亡くなっている場合、遺産分割協議書を完成させるためには、孫たち全員の押印が必要になります。

ですので、祖父名義の土地を私に名義変更しようとする場合は、私はいとこ全員に連絡を取り、押印がもらわないといけなくなってしまうのです。

印鑑だけならまだ何とかなるかもしれませんが、問題なのは、相続人には財産(お金)を貰う権利が発生してしまうことです。もし、いとこのひとりが「相続権があるなら私の相続分のお金はいただきます」と言い出した場合は、お金を渡さないといけなくなります。

 

つまり、父に名義変更手続きをせずに放置したせいで、私たちの世代が巻き込まれてしまうことになるのです。

さらに大変なことは、もし祖父の父(自分から見たらひい爺さん)の名義のままだったら、ねずみ算式に相続人が増えて、もう手の付けられない状態になる可能性が出てきてしまうことです。

私の知っている人で、相続人が94人にまで膨れ上がってしまったという方がおられました。その方は頑張って94人の相続人全員から押印をもらったそうです。

幸い、皆さん素直に応じてくれたそうですが、大変な労力とお金と時間を費やしたそうです。また、全員に菓子折りを送ったりと大変な気を使い、神経をすり減らしたとおっしゃっていました。

 

 

もしかしたら、「これから先も名義変更せずに放置したらいいんじゃないの?」と思った方もおられるのではないでしょうか?

もし名義変更をせずにそのままにしたら、どうなるのでしょうか。

答えは簡単。「家を売ることができない」です。

 

家を売却する行為は、生きている人の名義にしないとできません。

上記の図でいうと、現在生きている私・姉・いとこの誰かに名義変更しないと土地を売ることが出来ません。(共有名義でも可)

「私が相続人代表です!」と勝手に法務局に名乗り出ても、当然受け入れてくれないので、相続人全員の印鑑を押した「遺産分割協議書」が必要になるのです。

 

〇解決策

 

図2のようになってしまったら、解決方法は「全員の押印をもらう」or「相続放棄をしてもらう」しかありません。どちらにしても全員に連絡を取らなければいけません。

 

最良の解決策はただ一つ、問題が発生する前に解決すること!
つまり、「相続人が増えるまえに名義変更を完了させること」です。

上記の図でいうと、父の兄弟が生きているうちに、名義変更を終わらせることです。

時が経てば、相続人の誰かが亡くなります。誰かが亡くなれば、その子どもに相続されます。一人っ子でない限り相続人が増えていきます。

相続人が増える前に、できるだけ早い段階で名義変更を終わらせる。最良の策はそれしかありません。

 

 

といっても、自分の実家の土地名義を調べたことがある人なんて、あまりいないと思います。

ここからは、不動産の名義の調べ方と、名義変更手続きの方法をご紹介します。

 

〇名義変更の方法

 

まずは土地の所有者が変更されているかの確認をします。

法務局に行けば、登記簿謄本の取得方法を親切に教えてくれます。

もし名義が祖父のままの場合は、法務局で名義変更手続きを行います。

法務局では必要書類の集め方などを親切に教えてくれます。

上記で述べた「相続人全員が押印した遺産分割協議書」も必要書類に入ってきます。

あとは法務局の方の指示に従いながら手続きを進めていくだけです。

 

自分で手続きする自信がない人や時間がない人は、司法書士に依頼しましょう。
依頼料は発生しますが、全ての法務局で行う全ての手続きを代行してくれます。

 

 

まとめ

土地の名義変更の大切さをご理解いただけましたでしょうか?

終活において最も大切なことは、「たぶん大丈夫」の状態にしておかないことです。

たぶん大丈夫と思っても、念のため調べてみてください。

メインの土地は大丈夫でも、「倉庫が建っている隣地だけ名義が変わっていない」ということもあるので、念には念をで調べてみましょう。

ちなみに、例では『土地』の話だけをしましたが、建物も調べてください。

土地の名義変更は出来ているが、建物は変更出来ていないという可能性もありますので。

 

終活で大切なのは、心配事を取り除き、心に余裕を持たせることです。

「実家の土地名義は問題なし!」と胸を張って言える状態にして、心配事を一つでも減らしていきましょう。

〇田舎の家は荷物が多い!!

 

私が空き家事業をやっていた滋賀県には、広大な田んぼ地帯が広がっていて、昔ながらの広い民家もたくさん残っています。

 

空き家のお仕事をしていると、大きな民家の所有者からも相談が入ります。

所有者と言っても、長年住んでいた方ではなく、相続人である息子さん、娘さんです。

多くの息子さん娘さんは、大学生のころまでは実家に住んでいたものの、その後数十年間、離れた場所で住んでいるので、実家のことはあまりよく分かっていません。

 

「母が5年前に亡くなったまま空き家になっているので相談に乗ってほしい」

という相談が入ると、まずは所有者の方のお話しを聞いた後、家の中を見させてもらいます。

 

よく、テレビで『田舎の空き家』を紹介されていますよね。

普通は、田舎の空き家と言えば、テレビで紹介されている空き家を想像されると思います。

趣のある庭、立派な梁(はり)のある吹き抜けの天井、凛とした雰囲気のある蔵、囲炉裏のある広々とした和室。

しかし、実際に相談が入る空き家はそんなに甘くはございません。

ほとんどの空き家は、荷物がそのままです。

生活感がそのまま残っています。
中に入ると、薄暗くて、埃っぽくて、背筋がゾクっとする空き家がたくさん見てきました。

そして、どこの家もとにかく荷物が多い!

 

空き家の中の荷物をチェックしていくと、いろんなものが残っています。

20年くらい漬け込まれたであろう梅干し、

賞味期限が15年前の醤油、

昭和中期ごろのあまり価値のない大きなタンスたちが十数本

いったい何人同時に泊まるんだと思うくらいの大量の布団

蔵の奥の方に詰め込まれた、大量のお中元やお歳暮

荷物処分の見積りを取ってみると、当たり前のように100万円以上の見積り額になってしまいます。

 

 

〇『荷物量=家の大きさ』になっていませんか?

 

荷物って不思議なもので、なぜか

荷物の量=住む人の数 ではなく、

荷物の量=家の大きさ になってしまいます。

 

2人しか住んでいないのに、家が広いとその家のスペースに合わせた荷物量になってしまいます。

だから広い家には荷物が多い。

 

荷物は油断していると増える一方です。だから、「増えたら捨てる」を繰り返さないいけません。

しかし、家が広いは置いておく場所があるので、使わないものはとりあえず空いているスペースに押し込まれます。そして、知らないうちに手が付けられないくらいの荷物量になってしまうのです。

 

荷物量がある一定の量を超えてしまうと、人は整理することを諦めてしまいます。

見て見ぬふりを続けているうちに歳を取り、そのまま荷物だらけの空き家になってしまいます。

 

空き家になると、荷物を処分するのは子ども達の役目になります。

しかし、亡くなった親の家にはどんなものが残されているのか分かりません。

大切なものが残されているかもしれないと思ってひとつずつ確認しようとするも、大量の荷物のせいでなかなか整理がはかどりません。

さらに、思い出の品や「捨てたら親が悲しむかな」と思ってしまう品が出てきたら、作業がストップしてしまいます。

そうこう言っている間に時が経ち、ずるずると放置されていくのです。

 

 

〇荷物だらけの空き家にしない方法

 

こんな、荷物だらけの空き家にしないためにも、広い家に住んでいる人は、次のことを心がけてほしいと思います。

①「一つ増やしたら一つ減らす」を心がける

②増えすぎた荷物は定期的に減らす

③「使えるもの」ではなく、「使うもの」だけを残す。

それでもどうしても処分できない性格であれば

④子どものために処分費を残す。

 

「ああ、荷物が多いなぁ」と感じている方、もし荷物の量が

『家の大きさ=荷物量』になっていたら、少し危機感を感じた方が良いかもしれません!

『住んでいる人数=荷物量』を目指して、整理整頓を頑張りましょう!

・「今さら手遅れ」と思うことがたくさんあった

・終活の半分は「自分整理」であることに気が付いたから

・自分整理は人生のどんな局面にも生きてくると気が付いたから

・私が「終活は若いうちから始めるべきだ」と思った理由

・分かっちゃいるけどできない人へ

 

〇「今さら手遅れ」と思うことがたくさんあったから

 

私は空き家サポート事業を始めてから、所有者から様々な相談を受けてきました。

相談者の多くは、その家に住んでいた方の相続人です。

相談内容の中には、「もう今さら手遅れだ」と思ってしまう案件が何件もありました。

・「土地の名義人を曾祖父から変更していなかったせいで、相続人が50人くらいに膨れ上がってしまい、売却したくても簡単に売れない」

・「空き家期間が長すぎて、もう壊すしかないくらい建物が傷んでいる」

・「荷物整理をしなかったばかりに、多額の処分費がかかってしまう」

・「相続人に認知症の人がいるため相続が進まず、家を売ることができない」

などです。

このような内容を相談されると、私はいつも頭を悩ませていました。

なぜなら、解決するにはお金と労力が想像以上にかかってしまうからです。

相談者の多くは、40~60代です。

お金にも時間にも余裕がない方がほとんどです。

田舎で相談窓口をしていると、不動産の価値も安いので、遺産額も大した金額にはなりません。

家を売る金額よりも、問題を解決する費用の方が高くつくこともあります。

相談者の方に、解決にかかる労力と費用の話をすると、どんよりとした空気が漂ってしまいます。

 

そのどんよりとした空気の中、私はいつもこう思っていました。

『本人が生きているうちに手を打つことが出来ていたなら、相続人さんがどんよりとした気持ちにならなかったのになあ』と。

 

私はこんな経験がきっかけで、

『手遅れになる前に手を打つ行動』=『終活』

の大切さを感じるようになりました。

 

 

〇終活の半分は「自分整理」であることに気が付いたから

 

終活とは何ですか?と質問されると、ほとんどの人は「自分の死に向けての準備」と答えるのではないでしょうか?

でも本当にそれだけなんだろうか?私は疑問を覚えました。

なぜなら、終活の「作業として行う「自分整理」は、老若男女問わず、普段の生活に大変役に立つものだからです。

 

確かに、『尊厳死宣言書』や『遺言書』のような終活は、「自分の死に向けての準備」だと思います。

しかし、「銀行口座一覧を作る」や「自分の荷物を片づける」などの行動は、「自分整理」のための作業です。

「残された家族が苦労しないために、自分の身の回りの事を整理しておきましょう!」という観点で考えれば、「死に向けての準備」かもしれませんが、

実際は「死」のためだけにするのではなく、長い人生をポジティブに生きていくうえで必要な作業なのではないかと感じています。

 

 

〇自分整理は人生のどんな局面にも生きてくると気が付いたから

 

「自分整理」は言い換えると、『自分のモノコト整理』です。

モノとは・・・荷物、財産、不動産など、形のあるもの

コトとは・・・考え方、契約、人付き合いなど、形のないもの

 

この「自分のモノコト整理」は、人生のいろんな局面で自分を助けてくれるものなのだと感じたエピソードがあります。

 

以前、「あなたの終活について考えを聞かせてくれませんか?」という企画を行ったとき、

29歳の女性がモニターとして参加してくれました。

参加してくれた理由は、

「家族を優先しすぎて自分の体のことをあまり考えていない母親に、もっと自分の事を考えてほしい」

「近い将来、自分に転職などのプラスの転機が訪れたときに、迷わず行動に起こせるように、自分の事をもっと把握しておきたいから」

の2つでした。

 

その方は、29歳という若さで、自分のために終活をしておきたいと考えたのです。

人は人生の転機が訪れたとき、「チャレンジできるのか、チャレンジするべきか」を考え、悩みます。

その時に「お金はあるのか」「保険はかけているのか」「節約できることはあるのか」など、自分の現状を踏まえた上で、答えを導き出そうとします。

もし、その時点で「自分のモノとコト」がしっかり把握できていたら、慌てず冷静に、そして迅速に答えを出すことが出来るのではないかなと思います。

 

「自分のモノコト整理」という終活は、自分が亡くなったときの準備だけではなく、人生の転機が訪れた時にも役に立つものである。

つまり、終活には

「手遅れ防止効果」と

「人生の転機が訪れた時の”頭の準備”と”心の余裕”効果」

の2つの効果があるのだと、その方の話を聞いて強く確信しました。

 

 

〇私が「終活は若いうちから始めるべきだ」と思った理由

 

先ほど述べたように、終活には

「手遅れ防止効果」と

「人生の転機が訪れた時の”頭の準備”と”心の余裕”効果」の2つがあると思います。

 

一つ目の「手遅れ防止効果」を発揮するためには、把握・整理だけではなく、実際に行動が必要になってきます。

荷物を片づけたり

市役所で手続きしたり、

無料法律相談会に足を運んだり、

保険の契約をしたり

不要なモノコトを解約したり

 

でも、この行動がなかなか大変なんです。

 

では、なぜ若いうちから終活を始めた方が良いのかというと、自分のモノコトが複雑になってから行動に起こそうとすると、手間も労力もお金もかかってしまい、非常に大変だからです。

 

これは仕事でも同じですよね。

普段から毎日顧客管理ができている人は、問題が小さなうちに芽を摘むことが出来ているので、大きな問題に発展しにくい。、

逆に毎日管理せずに、まとめて顧客管理表を付けるようなタイプの人は、小さい問題に気づくことが出来ず、大問題になってしまう可能性が高い。

 

終活も大問題になる前に芽を摘み取っておかなければいけません。

そのためにも、若い時から終活をする癖をつけておけば、大問題になる前に芽を摘み取ることができます。

こういう理由から、頭の柔らかい若いうちから、終活をする癖をつけておいた方が良いと思います。

 

2つ目の「人生の転機が訪れた時の”頭の準備”と”心の余裕”効果」ですが、

これは、自分のモノとコトが増えだす時期から始めていくべきだと思います。

 

結婚して家族が増える

家を買う

生命保険など、いろんな契約を結ぶ

車やブランド品、電子機器などの「財産」を所有し始める

自分で事業を始める

親が大きな病気になる

などのタイミングです。

具体的な年齢で言うと30歳を超えたあたりでしょうか?

こういうきっかけがあった時こそが、終活の始め時だと、私は思います。

 

 

〇分かっちゃいるけどできない人へ

 

「終活、特に自分のモノコト管理は大切」

「終活は若い時から始めた方が良い」

 

大切なのは分かっちゃいるけど、なかなかできないんです!と思っている方へ。

 

いろいろと書きましたが、実は私も自分のモノコトの整理がとても苦手なんです。

だから、こんな私でも「自分のモノコト整理」が楽しくできるツールを作りました。

 

終活関係の書式やツールは、どうしても年配向けのデザインが多いように感じます。

老若男女が「このツールなら見やすいし書いてみよう!」と思えるようなデザインを心がけて作りました。

 

まだ数種類しか用意できていませんが、今後はもっといろいろな書式やツールをどんどん生み出していきます。

無料でダウンロードできますので、もしよろしければ使ってみてください。(会員登録も不要です)

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